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ギターアンプ/ベースアンプの修理実録 ! サウンドハウスサービスマン日記

真空管劣化と半田クラック

 ギターアンプ系に於いても、急に音が出なくなった、ノイズが乗る、音が割れる、ゲインが落ちたとトラブルは色々です。ギターアンプ系はPAアンプと違いキャビの上にスタックしたり、大型キャビに組み込まれていたりと、精密機器としては厳しい条件の中で稼動している事が一般的である為、傾向的には振動に起因するトラブルの比率が多くなります。

 特に楽器としての音質に拘るモデルでは、プリから出力回路に至るまでデリケートで発熱量の多いチューブを多用するモデルが多くなり、トランジスタモデルよりも振動や電圧変動、温度環境に影響され易くなる傾向にあります。そのため、チューブの劣化に起因する音量低下やノイズの増加が発生し易く、またチューブそのものの劣化以外でもソケット接点の表面が汚れたり、接点金具の緩みが発生して接触不良を引き起こす場合もあります。

 あとはキャビの振動に起因するPCB上の半田クラックが上位を占めて来ます。モデル的な傾向としては、HARTKEのベースアンプヘッド系ではメインPCB上の大型電解コンデンサのリードやレギュレータICのリード付近の半田クラックによりバリバリ音が発生したり、音途切れが発生する事が有ります。PEAVEYやAMPEG系ではヘッド、コンボ共にプリ及びメインPCB上の内部連結コネクタ端子のリードやトランジスタのリード、続いて大型電解コンデンサのリード周辺での半田クラック、更にINPUT/OUTPUTジャックの半田部分のクラックが見られます。

 いずれも大半の場合は怪しい部分に半田修正を施す事により機能回復が見込めます。半田修正時の注意点としては、キャビから内部を引き出しての作業となる為、必ず電源をOFFにしてから作業に取り掛かる事はもとより、プリントパターンの損傷や隣のランドとの半田ショート(短絡)、特にPEAVEY系アンプの半田修正の際は電源ラインのコンデンサに高電圧の電荷が残っている場合が有りますので、くれぐれもご注意下さい。時にはコンデンサの容量抜けやトランジスタの内部シュートなどによりパーツ交換が必要になる場合もあります。

 半田クラック以外で良くある症状としてはPOTのガリです。軽度の物は、使用頻度が低いが為にPOTの内部カーボン被膜の表面に酸化膜が発生して接触不良を起こす場合で、この場合はPOTを何度か繰り返し回転させる事によって治まったり、接点復活材で改善される場合が多くあります。一方、使用頻度が高い環境で重度の場合は、カーボン被膜が摩耗消滅してしまう場合があります。このケースではPOT交換が必須となりますので、その他不具合のケースと同様、お買い求めの販売店にメンテナンスのご相談となります。

異物混入か

GALLIEN-KRUEGER 800RB:音が歪む。この症状の場合、すぐに電源を入れては危険な場合が考えられるので、先ずは天板を開けて内部を調べると、電源回路内にブリッジダイオードが大小2個有り、小さい方のブリッジ周辺に黒変個所が確認された。一見、内部でリークして此処から煙が出た様な様子だったが、よく見ると中心に小さな点が有り、スパークした様な痕なので、周辺を調べてみると、最寄りのリード線上にもスパークの痕跡が有り、一時的に小さな金属片のような物が混入してスパークしたものと思われる。

1本の抵抗

PEAVEY BACKSTAGE:音が出ない。検証すると、電源は入るが音が出ない。しかしTAPE INから入力すると正常に音が出るので、入力回路のトラブルらしき所までは直ぐに判断がついたが、そこからが曲者だった。一通り半田チェック、パーツチェックを行うが、外観上特に異常は見られなかったので、トランジスタやダイオードに異常は無し、続いてコンデンサまで調べたが何れも問題なし。そこで今度は、回路を動作させておいて半田面を調べられる状態に仮組みし、信号を入力して端からオシロで追っていくと、何故か初段のトランジスタの出力が無い。先のチェックでトランジスタに異常が無い事は調べがついているため、余計不可解であったが、バイアス電圧がおかしい様なので、周辺の抵抗不良を疑い端から抵抗値を測っていくと、遂に1本の抵抗の断線を発見した。普通は抵抗断線の原因は過大電流が流れたり破損したりという場合が多く、良く見ると異変が現れている場合が多い物だが、今回の場合は、ごく稀に見る全くの初期断線の模様で、外観上の変化は全くなかった。ともあれ、この抵抗を交換した所全機能が回復した。

セメント抵抗

EDEN WT600:音が出ない。電源は入るものの、入力しても全く音が出ない状態だった為、調査していくと、パワーアンプの直前に信号を入力すると出力され、2つあるパワーアンプモジュールはどちらも問題ないことが判明した。原因はプリアンプに有るようだが、真空管も動作している様だし、ICも壊れている様子は見受けられない、そこで入力から信号を追っていくと、真空管付近で信号が途絶えている。どうもプリアンプに掛かる電源電圧が落ちているようだが、特にショートなどで負荷が増大している気配もなく、プリに入る所で電圧が途絶えている模様だった。今度は電源ラインを中心に追っていくと、電源モジュールの裏に忍ばせてあった大型のセメント抵抗が断線していた。特に電流が流れ過ぎたような形跡も無いので、何故切れたかは不明だが、この抵抗を交換したところ正常動作が得られ、完了となった。

内部コネクタ

ACOUSTIC IMAGE 411AA:電源入らず。検証すると、電源を入れてもパワーLEDが点灯せず音も出ないが、スピーカーからは微かに残留ノイズが聞こえるのでパワーアンプは動作している模様。そこでシェルを固定しているネジを外してアンプモジュールをそっくり外して調べようとした所、電源トランスが本体側に固定してあった為、本体からそっくり分離する事は出来なかった。少し持ち上げた状態で横から指を伸ばしてコネクタを外そうと思ったが、構造的に先ずはプリとメインを分離した方が良さそうだった為一旦メイン部を固定してプリ部のみ外しに掛かると、何の抵抗も無く外れてしまった。基板が存在する以上何も繋がっていない筈は無いので確認すると、基板上のコネクタ同士がスライド式に直接結合できる構造になっていたが、その部分が全く合わさっていなかった。ある程度使用されている物なので初めから接合されていなかった物ではなく、ユーザーが何らかの理由でメンテナンスを加えた時に接合せずに組み込んでしまった物と思われる。

コンデンサのリーク

HARTKE HA3500:電源入らず。検証すると、先ずメインヒューズが真っ黒に断線している。この状態は非常に大きな過電流による事から、出力モジュールのショート又は電源回路の整流回路付近のショートが疑われるので、先ずはボードに実装されたままの状態でブリッジダイオードを調べてみると短絡反応が見られた為、ダイオードのリードを外して調べると、単体では正常であった。そこでプリント配線側を調べてみるとそちらがショートしていた。既にパーツを外す為にトランスのコネクタ等は抜かれていて、ショート反応を示す可能性がある回路は遮断されている為、残った回路にぶら下がっているパーツが不良と言う事になる。そこで配線を追っていくと、トランス配線から基板に入った直後にあるノイズフィルター用コンデンサを測定するとショートに近いリークが確認され、このコンデンサが犯人であった。コンデンサ交換にて完了。

ただの電球切れ

CRATE V58:パイロットランプが点かない又は点滅する。検証すると、電源は入って音は普通に出ているがパイロットランプに少しショックを与えると点いたり消えたりする。未だ殆ど使用していない新品同様のもので、不具合はパイロットランプ周辺のみと言う事までは直ぐに判明したが、電球を回したり傾けてみたり、兎に角何かすると点灯したりソケットの配線なのかソケットそのものの接触不良なのか分かり難い。結局配線状態からソケットの接点金具には異常無し、電球のフィラメントが微妙に断線していて電球の中でつながったり離れたりしている事が判明、遠回りした後電球交換にてあっさり完了となった。

2階建て基盤 その1

PEAVEY TMAX:レベルが変動して安定しない。検証すると不安定な症状は確認できたが、パツンパツンとハッキリした変化のある接触不良の症状ではなく、何となくゲインが上がったり下がったりと言う不安定な症状だった。TUBEのポストゲインのツマミを触ると改善されるが、演奏中にまたレベルが急激に落ちると言う事なので、ポストゲインのPOT周辺を集中的に調べたが特に異常無し。その為先ずは全体をざっと調べる事にしたが、先ず入力SWの接触不良が気になるので接点を活性化。その時点では未だ症状は改善されない。そのまま調べて行くとパワーインジケーターの点灯が不完全だった為原因を追究。こちらはプリント配線の一部が断線していて半田修正。当然こちらも症状とは無関係だった為、一旦プリアンプを外して半田面をチェックした後、2階建て構造である基板の結合部分のコネクタの接点を調べると、コンタクトしていたと思われるスポットに小さい黒点が幾つか見られたので、コネクトピンを全て研磨して活性剤を塗布して組み立て、動作チェックすると安定動作が得られた。どうやらポストゲインのPOTをいじると様子が変わるという現象は、その時に基板が微妙にたわんで接点の接触状況が変化した物と思われる。

2階建て基盤 その2

DANELECTRO DD1E:音が出たり出なかったりと言うもの。検証すると、ジャックを動かすと音が途切れる現象があり、いかにもジャック不良と言う感じの症状だったが、半田状況や接点の状態など幾ら調べてもジャック周辺には問題が無かった。最終的に2階建て構造になっている基盤同士を接続するコネクタに接触不良の兆候が有る事が判明。接点を磨いて組みなおした所問題なく完了となった。結果から判断するとジャックを動かした時の微妙なたわみがコネクタの接触に変化を与えて音が途切れるという状態であったといえる。

問題は蚊帳の外

GALLIENKRUEGER 700RB:1時間位経過すると徐々に音が小さくなって最終的には出なくなってしまい、しばらくすると復旧する。先ずはパーツや一連の動作状況に異常が無いか確認したが全く問題が無く、症状に波を起す原因となる事が考えられるコネクタ接点等に緩みも無い。実際に数時間のランニング・テストを行っても現象は出ない為アンプは異常なしと判断。同梱されていたスピコンケーブルも真新しかったが、スピコン内部の接続部分を調査すると若干の緩みが見られ、結局その緩みが原因となって接触不良を起こしていた物と判明。

内部のナットが外れてショート

HARTKE HA3500:電源入らず。開けてみるとヒューズが飛んでおり、出力モジュールが動作不良を起こしていた。出力モジュールを調べると出力トランジスタが2個、ショート状態で壊れていた。原因は定かではないが、電源トランスのネジ止め部分でナットが外れて内部で踊っており、そのナットが動作中にアンプのトランジスタのリード線に触れてショートした物と思われる。

有効な状況聴取

PEAVEY BLAZER158:時々音圧が変化したりクリーンチャンネルで時々歪みが出たりする。検証しても状況が把握できない為先方に状況確認をした所、小音量時でも電源投入直後でも発生し、暫く正常な事もあるが必ず発生するとの事。またショックに反応することが多い、ボリュームやジャック周りにはあまり関係ない模様と言う詳しい状況説明が得られ、その情報を元に推測すると何処かに導通不良箇所が潜んでいる可能性が濃厚になった。最終的に基板自体には異常は無く、パワーICの放熱板とヒートシンクを介してフレームのGNDに落ちるべき回路が放熱効果を上げる為のシリコングリスによって導通不良を発生させていることが判明した。放熱に必用なシリコングリスは残しながら導通に必用な部分を確保して接地する事によりFIXとなった。

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